「神やん」というタイトルの本を執筆し、第7巻まで出版しました。
ダメな神様と、心理カウンセラー月子のメールカウンセリング物語です。
今日は第2巻を振り返ります。
突然ですが。
みなさまは神社に行きますか?
行ったら、どのように振る舞いますか?
その場の空気を、乱さないように気を配っていますか?
心の中で、どのような言葉を紡ぎますか?
お願い、お願い、お願い星人になっていませんか?
今、この場にいることに、感謝の言葉を捧げていますか?
神やんによれば、「最近、全然なってない」のだそうです。
「こっちは神だからさ、それなりの手順でさ、礼儀正しくさ、それなりのこと頼んでくれればさ、ほぼほぼ対応してるわけよ。」
ほぼほぼ、ね(笑)。
今回の相談者は、看護師の夏子さんと、IT関連会社員のタケルさんです。実はこの2人、カップルで、神やんの神社にも、一緒に行きました。
買い物依存症に苦しむ夏子さん。
夏子さんを気遣うタケルさん。
しかし2人はそれぞれに、他の悩みを抱えていました。
仕事がメチャできる夏子さんは、上司や同僚の、ユルい感じが許せないんですね。メールも理論的で、なかなか自分の気持ちを表せない。
4回目のメールで、夏子さんは仕事柄、感情抑制が癖になっていることを打ち明けます。そして誰にも話したことがない、秘密を明かすのです。
夏子「こんなこと、誰にも言えません。自分でも本当かどうか分からないのに、人に信じてもらえるはずがないのです。
意識しないようにしてきました。錯覚だとか、勘違いだと思えばそれまでのことです。
本当は知っていた。認めたくなかっただけです。でも、気づいてしまったので、もう受け入れるしかありません。私は、私でしかないから。」
夏子さんとタケルさんは、カウンセリングを受けていることを、相手に打ち明けていません。
月子としては、夏子さんの相談とタケルさんの相談を、切り分けなくてはならない。
月子には、もちろん守秘義務がある。それ以上に、本人以外から得た情報は、カウンセリングの妨げになる。と、月子は考えているのです。
そこんとろが、神やんにはわからない。
知ってることを、活かすのが、どうしてダメなのか理解できない。
さて。
はじめは夏子さんの依存症について相談していたタケルさんですが。実は、交通事故の後遺症による激しい頭痛に苦しんでいました。これ以上、仕事を続けられそうにない。
いまだって、夏子さんの稼ぎには遠く及ばないのに。やめたら、どうなるのか?やめて、どうするんだ?
結婚。こども。これからの生活。考えれば考えるほど、自分の状況は「最悪」としか言いようがない。
最悪?
そうなの?
本当に?
月子は、そんな風に投げ返してみるのでした。
2人からのメールを受け取ると、月子は神やんとの打合せに神社へと向かいます。
月子と神やんの会話が、また、いいんだわ。
著者が自分で言うか(笑)
神やんと月子の会話を、ひとつ、ご紹介しましょう。
月子はメールを観察し、文章に表れていない何かを探ろうとします。
神やん「どゆこと?」
月子「返信のタイミング、出だしの言葉、語尾のニュアンス、一人称の使い方。」
神「何それ?」
月「メールでは『自分』って書くけど、人と話すときはどうなのかな、とか。」
神「それで何がわかる?」
月「何もわからないよ。でも何か感じる。距離感かな?」
神「ふーーーん。他には?」
月「全体から受ける印象。」
神「書いてあることは、意味ないのか?」
月「意味はあるよ。でもね、人はめったに本心なんか言わない。自分の本心に気づいていない人も多いし。本心を悟られないようにガードする人もいるし。こいつに、って私にね、どこまで言って大丈夫なのか。探りながら近づいてくる。で、こっちも探る。押し過ぎないように。でも押してほしい部分を見逃さないように、そーっと。」
神「めんどくせーな。」
月「まぁね。」
月子のメール・カウンセリングが終わると、次は神やんの仕事です。
いつもなら、ちょっとした仕事をして、相談者さんの変化を促すのですが。
今回は、タケルさんが夏子さんに「いきなりプロポーズしないように」する、というのが月子の注文です。
月子「難しいの?」
神やん「動かすほうが簡単でさ。動きを抑えるのは、けっこうハードル高い。」
なるほど。
ただ、そばにいる、とか。
静かに待つ、とか。
神でも、大変なんですねぇ。
がんばってもらわないと。
...................
神「言うな!」
月「へ?」
神「がんばって、とか、絶対に言うな!」
月「言ってないじゃん:」
神「言おうとしたじゃん。」
月「あはは。」
神「あはは、じゃねーよ。言うな、絶対!」
仲のよろしいことで。