あなたは、「かわいい」という言葉に含まれる意味を知っているでしょうか?
「かわいい」を使う人の性格や思考パターン、性別などの違いによって全く異なる意味をもつ言葉なのです。
この記事では、特に女性が使う「かわいい」に、「どこが?」「なんで?」と思ったことのある男性に役立つ情報をお伝えします。
注意!
この記事では、「男性」「女性」という表記をしますが、あくまで「一般的に、このような傾向にある男性または女性が一定数存在する」という意味で使っています。あらゆる「男性」または「女性」の特徴を断定したり、差別したりする意図はありません。
ひとつの言葉を例に、言語コミュニケーションに起こりがちな誤解を解説し、人間関係の改善に寄与することを目的とします。
このシリーズが生まれた理由
ある友人(男性)の話
性格良し・ルックス良し・服飾センス抜群の友人は、言語表現が苦手。「愛情が足りない」と誤解され、最近彼女にフラれたばかり。
私は彼の愚痴を聞きながら、たしかにボキャブラリーが貧弱だよね、と思っている。
ふと見ると、素敵な靴を履いている。
私:その靴、かわいいね。
彼:その「かわいい」って、どういう意味?
彼女もさ、しょっちゅう「かわいい」って言うんだけどさ。どこが「かわいい」のか全然わかんないんだけど。子犬とか赤ちゃんとか「かわいい」けどさ。この靴、どこがどう「かわいい」わけ?そもそも「かわいい」ってなんなの?
なるほどね。
そこに、つまずいているわけね。
女性が使う「かわいい」には、男性の理解領域を超え、実に複雑かつ多様な意がある。
また男女に関わらず、論理的な思考傾向にある人にも、この不思議な言葉について、ぜひお伝えしたいと思います。
では、ご一緒に「かわいい」の徹底考察を始めましょう。
正統的用法「かわいい」
ほぼ誰もが分かる場合、この「かわいい」を正統的用法と呼びます。
赤ちゃんの寝顔、無邪気な笑顔、子犬や子猫。
胸がキュンとなるようとき、「かわいい」はそのままの「かわいい」です。
演出や、悪意や期待はありません。
感情と言葉が共鳴しています。
ケーススタディ(初級)
【ケース1】女性AAと男性BB・恋人未満
※AAが女性。ABは男性。AAはABを彼氏候補とみなしている。今のところABは、AAの気持ちに気づいていない。
AA:見て、これ!
AB:うん。
AA:生まれたんだよ~。
AB:そうなんだ。
AA:かわいいでしょ。
AB:かわいいね。
AA:見に行かない?
AB:何を?
AA:病院。
AB:え?
AA:今なら会えるから。
AB:うん。
AA:じゃ、行こ。
AB:うん。
さて、この会話、あなたは理解できますか?
解説しましょう。
会話の背景と解説
これまで何度もAAは、姉が出産間近であることをABに話した。
AAにとって関心の高いトピックである。
ABも自分と同じように興味を抱いている、とAAは思い込んでいる。
AA:見て、これ!
※スマホの写真を見せる。
AB:うん。
※赤ちゃんの顔だ、ということはわかる。
AA:生まれたんだよ~。
※主語は省略される。
AB:そうなんだ。
※とりあえず可。
AA:かわいいでしょ。
※生まれたばかりの赤ちゃんは、当然かわいい。彼も当然、かわいいと思っている。これは質問でなく、「かわいい」宣言。
AB:かわいいね。
※とりあえず無難。
AA:見に行かない?
※主語・補語の省略。質問のように見えるが、決定事項の宣言。
AB:何を?
※自分は何も理解していない、と言っているようなもの。NG。
AA:病院。
※苛立ちあり。赤ちゃんに決まってるでしょ!
AB:え?
※不可。病院を見に行くの?という質問のつもりだが、これはNG。
AA:今なら会えるから。
AB:うん。
AA:じゃ、行こ。
AB:うん。
どうですか?予想と合っていましたか?
ここで、ひとつ確認しておくことがあります。
確認
※日本語の特徴のひとつは、主語がなくても通じることです。
オバサンは主語を省略することが多い、というのは一面で正しいと言えます。
しかし、主語を省略するのはオバサンである、は間違い。
多くの女性は主語を省略することがある、というのが、正解に近いかもしれません。
男女に関わらず、親しさが増すほど会話に省略は増えていきます。
共通認識をあえて省略することで、より深い親近感を感じ合うわけです。
親密度が増すと、言葉ぬきで、チラッと目を見かわすだけで、親愛を確認することができます。
とはいえ、共通認識レベルを確認せずに言葉を省略する傾向は、女性に多いようです。
女性は、省略された主語などを、それぞれの経験値で補いながら会話する能力が高いのです。
互いに補うことで、親近感を育む。
主語省略という文化は、特に日本女性たちが育んできた能力とも言えます。
しかし、やはり意味が分からないと困りますね。
相手の女性が単なる知り合いならば、適度にうなずき調子を合わせておけばOKです。
優しいまなざしを加えると、好印象です。
もし相手の女性との関係を深めたいのに、会話がうまく進まずに困っているのなら、このシリーズで楽しく学んでいただきたいと思います。
対処法
この「かわいい」は、「小さくて弱々しく愛くるしい」対象についての表現です。
分かりやすいですね。
ただし、否定・反対意見・曖昧な表現は許されなません!
相手の熱意に合わせ、同じ言葉を、同じトーンで伝え返すのがポイントです。
A:かわいいでしょ。
B:かわいいね。
B:そう?
B:うん、まぁ。
B:そうでもなくない?
B:うちの姉貴の子、もっと毛が生えてたけど。
B:なんか、動物っぽいね。
B:かわいいね(平坦な口調)。
つづく